アシュタンガヨガの成り立ちと発展

インドには伝統的なヨガがいくつかありますが、いずれも古いヨガの経典に書かれているものだったり、それを元に現代人が解釈を加えて作られたものだったりします。

私たちが日々実践し、みなさんにお伝えしている「アシュタンガ・ヨガ」もそれら伝統的なヨガの一つで、「ヨガ・コールンタ」という古い経典がベースになっています。

今回は、アシュタンガ・ヨガがどのようにして成り立ち、発展してきたのか、アシュタンガヨガの生みの親シュリ・K・パタビジョイス氏の著書「ヨガ・マーラ」の序文を元にお伝えしたいと思います。
※マーラ…サンスクリット語で「花冠」

アシュタンガ・ヨガの生みの親

アシュタンガヨガは、全てのアーサナ(ポーズ)の順番が決まっていたり、ポーズに伴う目線や呼吸のタイミングや動きの全てが、細かく決められていることが特徴なのですが、そのようなルールやシステムを作り上げたのが、シュリ・K・パタビジョイスという人です。ここから彼の名をジョイスという風に呼びます。

この人は、1915年生まれで、2009年に94歳で亡くなりました。彼の父親は占星術師で司祭でした。つまり、カースト制度では一番上のバラモン階級で、5歳からサンスクリットや儀式の教育を受けているような、エリート出身です。

ジョイスの少年時代

彼が12才の頃、中学校でヨガのデモンストレーションと講義が行われた時に、それを見たジョイス少年は、ヨガにとても魅了され、そこでデモンストレーションをしていたヨギーにヨガを教えて欲しいと頼み込んで、最初は子供なので軽くあしらわれるのですが、あまりに真剣なので、じゃあまた明日おいで、と言ってもらえて、それから毎日ヨガを教えてもらう日々が続きます。

実はそのヨギーというのが、クリシュナ・マチャリヤというとても偉大なヨギーでした。

実はジョイスは、ヨガをしていることや、これからヨガをもっと深く学ぼうとしていることを、自分の親や家族に秘密にしていました。

当時は、ヨガの実践者になるということは、家庭や社会を捨てるということになり、ジョイスの家の階級や父親の仕事柄、絶対にそれは許されないことだったからです。

15才の頃には、マハラジャのサンスクリット・カレッジに通うため、たったの2ルピーだけポケットに入れて家出同然でマイソールへ行きました。

行けばどうにかなると思っていたのでしょうが、1〜2年は物乞いをしたり、知り合いの宿舎に寝泊まりしながら、3年めにようやく親に連絡して、居場所や何をしようとしているかなどを打ち明けた後、なんとかまともに大学に通えるようになりました。

ヨガの実践と研究

それから26年間大学にとどまり、ヴェーダの研究、サンスクリットの習得、アドヴァイタ・ヴェーダンタ(不二一元論)という哲学で教授の地位を得ました。

当時、マハラジャ主催のデモンストレーションや研究調査をしていたクリシュナマチャリヤに同行したり、大学でヨガを教えたり、1948年にはヨガの病気治療的な側面を実験するための研究所「アシュタンガヨガ・リサーチインスティテュート」を自宅に設立しました。

アシュタンガ・ヨガの確立

この研究所の評判は、多くの生徒を呼び寄せました。アシュタンガ・ヨガが病気治療に繋がった事例がいくつもあるため、医者に勧められてやってきた難病患者(リウマチやハンセン病、喘息など)が、入り口に行列を作っていたというエピソードも多くあります。

そして、ヨーロッパやアメリカをはじめ、アジア各国、その他多くの国からヨガの修行にやって来ました。長期にわたってジョイスの元に通い修行を続ける人は、ジョイスの精神を受け継いで、それぞれの国で指導者となりアシュタンガヨガを伝えることができました。

また、彼の娘(サラスワティ)や息子(マンジュ)、孫であるシャラートやシャミーラも、ジョイスから学んだアシュタンガヨガの系譜を継承するため国内外で指導を行っています。

そのようにして、各地でアシュタンガ・ヨガというものが少しずつ知られることとなり、マドンナやスティングなどの有名人がアシュタンガヨガを実践し紹介したことにより、ヨガブームに火をつけ瞬く間に広がっていきました。パワーヨガやヴィンヤサヨガなどは、このアシュタンガ・ヨガを元にアレンジされたものと言われています。

さて、ジョイスは2007年に体調を崩し、2009年に94歳で亡くなりましたが、子供の頃から祖父のもとで学び、6つのシリーズすべてを実践してきた孫のシャラートがその後のKPJAYIのディレクターを引き継いでいます。

そして紆余曲折ありながらも、2019年にはジョイスの母、サラスワティ・ランガスワミが自身のヨガスクールをKPJAYIに移し、「K・パタビ・ジョイス・アシュタンガヨガシャーラ」と改名、シャラート・ジョイスは新しいシャラ「シャラート・ヨガ・センター」を開設しました。

ところで、ジョイスの師匠であるクリシュナ・マチャリヤを中心に、伝統的ヨガのルーツを追求したドキュメンタリー映画「聖なる呼吸」をご存知ですか?この映画では、ジョイスやその家族はもちろん、当時のヨギーたちの貴重な映像をたくさん観る事ができますので、興味のある方は是非入手してみてくださいね。

初めての海外ヨガ修行!南インドマイソールへの道のり

みなさんこんにちは!
今、私は南インドマイソールへアシュタンガヨガの修行の旅に来ています。

これまで現実的ではなかったこのヨガ旅ですが、娘も5歳になり仕事や生活環境も整ってきて、一か月間の海外長期滞在が可能になったため、思い切って家族三人でやってきました!
ここにやってくるまでにどのような流れで、どんな準備が必要だったかを備忘録も兼ねて書いておこうと思います^^

アシュタンギーなら一度は行きたい「マイソールのシャラ」ってどんなところ?

アシュタンガヨガの総本山といえば、これまでは、南インドのマイソールシティGokulam(ゴクラム)にあるKPJAYI(SHRI K. PATTABHI JOIS ASHTANGA YOGA INSTITUTE)でしたが、パタビジョイス師のお孫さんである現代表のシャラート(またはシャラス)師が「Sharath yoga centre」を新設し、シャラート師から学びたい生徒は全員、今シーズン(2019年10月~2020年1月)からその新しいシャラに通うことになりました。

Sharath yoga centreは、Hebbal(へボール)という工業地帯の中にポツンと建っている、赤い屋根の体育館のようなシンプルなシャラです。

ちなみに、ゴクラムのシャラは今でも使われていて、そこで代表として運営しているのはパタビジョイス師の娘さんであるサラスワティ先生です。(つまりシャラート師のお母さん)
※アシュタンガヨガを初めて習う方はシャラート先生ではなくサラスワティ先生のクラスを受けなければなりませんのでご注意ください。

毎年、世界中からたくさんのアシュタンギーがこのシャラを目指してやってきます。私は今シーズン(2020年1月の一カ月間)、シャラート先生の元で練習をしたいという強い思いで臨み、狭き門をくぐりぬけ、ついに念願のシャラに通うことができたのです。

マイソールでのクラス参加費 / 2019.8.17時点→ 1か月 36100ルピー(53,989円)

ちなみに、シャラート師がマイソールで指導をされる期間は、その年によって違うようですが、大体インドのベストシーズンである秋から冬に開催しているようです。真夏は暑くて厳しいからかな??

それ以外の季節は、シャラート師は各国各地で指導をされているようです。

Sharath yoga centreシーズン参加の申し込み

まず、第一に必要なことは申し込みをすること。この狭き門を通らないと話になりません。
申込期間については、webサイト(https://sharathyogacentre.com/)に記載されますが、いつ記載されるかわからないので、毎日のようにチェックをしておかないと見逃す可能性があります。現に今回も、精通している友人が逐一チェックをしてくれていて、教えてくれたので見逃さずに申し込み日時を知ることができました。

2020年1月分の申し込みは、急遽一か月早まっての8月15日深夜3:30。

スマホで時報を聞きながら、時刻きっかりにページを更新すると申し込みボタンが現われるので、落ち着いて丁寧かつ素早くフォームに入力をし、3分~4分以内に送信ボタンを押しました。

送信ボタンを押してから送信完了画面に切り替わるまで数分かかったかな?サーバーがかなり混みあっている感じで、かなりドキドキハラハラしました。そのあと、3時間後くらいに送信完了メッセージがメールで届きました。


そして、二日後には最終確認書がメールで送られてきました。

その最終確認書はプリントアウトして、現地での本登録の際に提出するので大切に保管しておきましょう。

申し込みが終わったらまずすること

【VISAの取得】

次にしておくことは、VISAの取得です。インドに滞在する際は必ず必要となりますので、忘れずに取得しましょう。

私たちはインド訪問が初めてだったので、いろいろなサイトを見て調べていましたが古い情報が多くて、ヨガビザ(現在は不要)が必要とか、VISAは東京か大阪のインド大使館に行って取得しなければいけない、とか、郵送でもできる、とか、あまりはっきりしない情報や面倒な手続きの情報ばかりでしたが、最終的に私たちが利用した一番いい方法がこちら。

e-VISA(https://indianvisaonline.gov.in/evisa/tvoa.html)なら、オンラインでインドVISAの申し込みと取得ができる!

ということでした。参考にしたのはこのページです。

インド eツーリストビザ オンライン申請、取得方法 パーフェクトガイド【2019最新版】

https://5star-traveler.com/india-evisa

夫と私と娘の三人分をこれで申し込み、翌日にはe-VISAが取得できました。サイトの管理画面からpdfファイルをダウンロードし、それを印刷したものを入国手続きの時にパスポートと一緒に係員に見せる流れです。

申し込み&取得の料金は一人約2700円、PayPalで支払いができました。
スムーズでとっても便利でしたよ!

【エアチケット購入と宿泊先探し】

次にエアチケットですが、私たちは家族3人での渡航なので、できるだけ安い料金になるよう調べに調べて、AirAsiaで福岡国際空港~クアラルンプール空港(マレーシア)~ベンガルール空港(南インド)という経路を選択しました。

宿泊については、ほとんどの生徒さんがゴクラムという町で家を借りて住んでいます。ゴクラムに知り合いがいれば頼んでおくとか、紹介してもらうとか、こちらに来てから探すこともできるので、数日間ホテルを予約しておいて、こちらに来てから長期で借りる家を探すこともできるみたいですよ。

ちなみに家を貸してくれる人は、スクーターのレンタルや両替などもやっていることが多いので、まとめて頼むと楽かもしれませんね。

我が家は、三人なのでできるだけ節約したい!ということで、宿泊も安さ重視で探しました。

シャラまでスクーターで35分~40分くらいかかりますが、UdayagiriというエリアにあるMK Greens Gardeniaというホテルを予約しました。一泊800ルピー、日本円にして約1200円という安さです。

インドのホテルは情報と実際の状態が全然違うという話もよくありますが、ここのホテルはすごくまともでした。ベッドルームだけでなく、共用スペースやキッチン、バスルームも結構広々としていて、不快さもないし、スタッフものんびりはしていますが、ちゃんと真面目に働いています。(笑)

周辺の治安も悪くありませんし、安心して滞在できました。

【空港から滞在先への送迎タクシーを予約

ベンガルール空港からマイソールシティまで車で3時間かかります。インド訪問が初めての私たちがいきなりバスを使うのはちょっとハードルが高いぞ、、と思い、毎年マイソールに行く友人に相談すると、インドでいつもお世話になっている友人が送迎タクシーを手配してくれるから頼んであげる、ということだったので、今回はお願いすることにしました。

担当ドライバーが、空港の到着口で「Mariko Matsumoto」と書いたプラカードを持って待っててくれました。タクシー会社のようなものではなく、一般の人が自分の車を使って連れて行ってくれるという感じです。

インドで数日過ごしてわかったのが、マイソールではUberがかなり浸透していてとても便利だということ。

スマホにアプリをインストールしておけば、googleマップと連動して、行き先を検索するだけで、手段のひとつにUberが表示されるようになります。

事前に行先までの時間と料金がわかり、オーダーすると、一番近くにいるドライバーがすぐに来てくれます。そこらにいるタクシーやリキシャは乗るときに料金の交渉をしなければならず、結構ストレスですが、Uberなら交渉不要、いつでも適正価格で安心して乗れるということです。クレジットカード支払いが可能なものもあり、それも事前にわかります。
ですから、マイソールに知人もおらず、事前に予約ができない方はUberを使うのをお勧めします。

【SIMカードの購入】

ちなみに、空港を降りてすぐにスマホが使えないと、アプリの使用も、調べものもできないので、事前にインドで使えるSIMカードを準備しておきましょう。

我が家は夫がインドでも使えるSIMカードを、amazonで事前購入しておいて、空港でカードを入れ替えて使いました。

インドの通信会社Airtelで買えるプリペイドSIM

事前に一か月使えるSIMを購入しておいても良いのですが、インドで購入した方が断然安いので、我が家は夫が一番期間が短い(最安値なので)ものを事前購入しておき、インドについてから、Airtelで私用のSIMを購入しました。amazonで買ったSIMの期限が切れるころ、夫が改めてAirtelでSIMを購入。

購入の際に必要なもの
・パスポート
・VISA
・現金


出発までに、しておくことはこれくらいだと思います。あとは、健康管理に気を付けて日々練習に励みましょう!

「Sharath yoga center」の現地での本登録の流れ、通い方、スケジュール、シャラでの基本ルール・マナーについての記事はこちら

「体の痛み」はアシュタンガヨガの練習に必要不可欠!

今朝のマイソールクラスの時、ある生徒さんから「パドマーサナ(蓮華座)を組むと右足が痛いので、今日はあまり動かず呼吸だけでもいいですか?」という質問がありました。

これは誰にでも思い当たる出来事だと感じたので、今日はこの「身体の痛み」についてお話ししたいと思います。

痛みがある時の練習方法

生徒さんには、詳しい状態を聞いた上で「もちろん、それでも良いですが、いつもの練習をできる範囲でやってみるというのも良い練習になりますよ」とお答えしました。

練習後、その生徒さんが「やってみたら大丈夫でした〜!」とおっしゃったので、ホッとしました。練習をするかどうかを決めたのは生徒さん本人ですが、練習しても良いと言った手前、痛みがひどくなってしまった場合、やはり責任を感じますからね。講師としてもその辺は慎重にヒアリングをしなければいけません。

判断基準としては、常に痛みを感じている場合(炎症を起こしている時など)ならいつもの練習をお休みして、マットを敷いて座り、呼吸を5〜10分くらいすると良いでしょう。呼吸で身体を整えリラックスできるし、時にはしっかり休むことも大切です。人間は動物同様、じっと動かないでいることで、怪我や病気を治す「自己治癒力」というものがあります。特にヨガを日々実践している方は、その治癒力が高まっていますので、練習を2〜3日休むだけで痛みが消えたり、結構大きい怪我でも普通の人より治りが早かったりします。

常に自分の体と心を観察して、やりたくない・・・と感じたら、休んでくださいね。痛みはあるけどやれそうだな、ちょっとやってみようかな、やりたいな、と感じているなら、無理のない程度で様子を見ながらやってみてください。


「痛み」は種類によっては必要なもの

さて、「痛み」というのは、軽微なものから激しいものまで色々あると思います。真剣に練習をしている人なら、全体の練習の中で一つも痛みを感じずに終えられる方は、ほとんどいないと思いますがいかがでしょうか。

アシュタンガヨガは、レベルに合わせて難易度が高くなるわけですから、体がどんどん強くなっていろんなポーズをできるようになっても、その人がその時にギリギリまで頑張らなければできないポーズがまた新しく出てくるので、常に「これ以上はきつい!痛い!」という状態に自分の身を置き、自分の心と体に向き合うという作業をし続けることになります。そういう意味でも、1時間〜1時間半練習をして全く痛みを感じない人は、アシュタンガヨガをしていないのだなあと思います。

ヨガとは、「どんなポーズでも呼吸を乱さない」練習。つまり、どんな痛みや苦しみに出会っても呼吸が乱れない「強さ」と「柔軟性」と「冷静さ」を保つ練習なのです。この「痛み」というのはそのための重要な役割を担っているのです。

痛みへの対応の仕方

「このポーズはきつい!苦手!痛い!」ということに対して、あなたはどんな反応をしますか?

  1. 「これ嫌!したくない」と反発する(苦手なポーズをついスキップしてしまう)
  2. 「これ嫌!でもやらなきゃ!」と反発しながらもなんとかやろうとする(呼吸が乱れる)
  3. 「あ、これ嫌だなと感じている自分がいる」と思う(客観視する)
  4.  なんとも思わない(感覚の制御、集中ができている)

上記の中でどれが一番苦しいと思いますか?そしてどれが一番楽だと思いますか?

1と2は苦しいし、3か4なら楽そうですが、実際にそのようになるのはなかなか難しそうですよね。難しいことだからちゃんと練習をしなければできるようにはならないのです。だから、この練習には、「痛み」そのものが必要不可欠なのです。もちろん、あまりに大きな痛みは、受け入れたり乗り越えるのが困難なので、その場合は、乗り越えられる範囲まで練習を緩めてみましょう。

そのほかにも練習中には、息苦しさなどの肉体的苦痛や、慢心、恐れ、怠慢なども現れますよね。それもこれも全て「どんな状況にも冷静さを保つ」ために必要な材料となるのです。


ヨガ初心者によくある話

あるポーズにAさんは痛みを感じ、Bさんは痛みなく楽にできているという場合。

Aさんは劣等感や痛みに対する嫌悪感を感じるかもしれません。Bさんは優越感や、もっとできる!という高慢さが現れるかもしれません。

だけどそもそも、ヨガの練習に「比較」も「評価」も必要ありません。できないポーズは、ヨガの目的に一歩近づくためにあります。それを乗り越えようとするそのプロセスで、受け入れ方や向き合い方を学ぶのです。できないからと言って投げ出すような態度を取ったり、怒ったり、落ち込んだりしてしまうのは、そのことがまだ理解できていない、ヨガを単なるスポーツのように捉えているのかもしれません。

人それぞれ、体が違うように、進むペースも得意不得意なことも千差万別、感じる痛みもそれぞれ違います。大切なのは、どんな痛みや苦しみが目の前に現れても、冷静に受け入れて、対処する練習をし続けることなのです。


そしてこの練習の成果は、普段の生活、人生そのものに必ず影響を与えます。嫌なものに出会った時、自分がどう感じるか、何に気づくか、どう対処するか。そうやって、みんながうまいことトラブルを回避しながら快適に過ごせるようになれば平和ですね。

さて、次の練習では、一体どんな感覚的刺激があるのか。それをじっくり味わいながら、練習をしましょう。