バンダの仕組みや効果について詳しく解説(ヨガ上級者向け)

アシュタンガヨガを始めてしばらくすると、「バンダ」というものについて学ぶ時がやってきますが、バンダを学び意識するのに適した時期は、中級〜上級シリーズを数年間、毎日実践している人が次へのステップのためにバンダの必要性を感じる時とされています。

“伝統的にバンダは、多くの複雑なアーサナや呼吸法やムドラをマスターし終えて、次の精神修行を求める人だけに密かに紹介されるという事実がある。つまり「バンダの練習」をするということは、ヨガの実践者からすれば、ハイレベルの実践をしているということを示している。”(Moola Bandha: The Master Keyより)

ですので、初級シリーズを練習する頃は、それほどバンダを意識しなくても大丈夫です。なぜなら、初級者は基本的な心身の健康を取り戻したり、継続して実践を行う強さを養うことに注力する必要があり、そのレベルでの実践においては、バンダへの知識や意識はなくてもなんの弊害も無いからです。

そういうわけで今回の記事は、ヨガ上級者向けの話になりますが、バンダの仕組みやその効果についてお伝えします。

karandavasana

バンダの意味

「バンダ」という言葉には、サンスクリット語で「閉じる、妨害、凝固、ロック」といったような意味があります。ほとんどの現代のヨガの教本では、バンダは単に「ロック/鍵をかける」として定義されていますが、バンダの本来の意味は本質的に逆です。なぜなら、身体的なレベルで特定の筋肉をロックまたは収縮させることによって、「解放」の微妙なプロセスが精神的レベルとエネルギーレベルで同時に進行すると言われているからです。

バンダはまた、脊椎と脳のエネルギーセンター(チャクラ)に関連しているため、肉体だけでなく、エネルギー、メンタル、超能力、マインドへ広範囲に渡って影響を及ぼします。

バンダの種類

バンダは基本的に「ムーラバンダ」「ウディヤナバンダ」「ジャランダラバンダ」の3つで構成されています。その他にこれら三つを組み合わせた「マハバンダ」というものもありますが、上級レベルに達するまでは実践しません。

ムーラバンダは会陰または子宮頸部、ウディヤナバンダは下腹部〜みぞおち、ジャランダラバンダは喉元(甲状腺の辺り)の意識的、意図的な収縮です。

バンダの仕組み

バンダは、それぞれの部位の筋肉を引き上げたり引き締めたりするテクニックです。これらの筋肉の引き締めは、緊張、循環器、呼吸器、内分泌、エネルギーシステムに影響を与えます。筋肉が収縮すると、神経インパルスは脳を中継して他の神経回路と神経中枢を作動させます。

ムーラバンダ(会陰収縮)

骨盤領域の感覚運動神経系と自律神経系の両方を刺激します。ムーラバンダが実行されると、骨盤脊髄から出現する副交感神経線維を活性化し、心拍数、呼吸、血圧(正常な血圧の人のみ)の低下、および一般的な休息とリラックスの感覚を含む、体内のすべての副交感神経活動を強く促します(交感神経への刺激も発生するが、わずかなレベル)。副交感神経系と交感神経系の両方を刺激し、体内の神経活動の主要な要素のバランスを取り戻します。これは、内分泌系に関与する視床下部にも非常に明確な影響を及ぼし、その情報を大脳辺縁系(感情)全体と大脳皮質(脳の外層)に中継します。つまり、ホルモン分泌や感情の起伏などにも関与するということです。

ウディヤナバンダ(腹部収縮)

消化器官、副腎、腎臓、そして最も重要な丹田を圧迫し、腹部と胸でエネルギーが生成されます。

そのエネルギーには「癒しの性質がある」と意識的に経験され、私たちの幸福感を高めます。ウディヤナバンダは交感神経系の調子を整え、より効率的に機能するように促します。

また、交感神経系が不適切な状況で機能しないように制御できるため、心身症におけるストレスや不安の影響を回避できます。

ジャランダラバンダ(喉の圧迫)

首を伸ばし、脊髄を引っ張って脳を引っ張ることで、下垂体と松果体に微妙な影響を及ぼします。また、首の前方への屈曲が甲状腺、副甲状腺、胸腺に影響を与えます。

同時に、延髄(脳の下部と脊髄の上部)の副交感神経の脊髄領域を刺激して、心拍数、呼吸、血圧などを調節したり、頸動脈洞を圧迫し血圧を下げるのにも役立ちます。

Gomukhasana

このようにバンダの実行によって、交感神経の緊張を和らげることにより、安らぎ、リラックス、そして一般的な幸福感が実現するだけでなく、筋肉と内臓の一般的なマッサージ効果にもつながるため、体の一般的な浄化にも役立ちます。また、バンダは内分泌腺にも影響を与えますが、これらの内分泌腺はチャクラと密接に関連しているので、バンダの実行がチャクラを刺激し、それが生命を維持するエネルギーを与えることにもなります。

バンダの効果

バンダの身体的効果

プラナヤマ(呼吸とエネルギーの制御)と組み合わせたバンダの実行は、次のように全身に影響を与えます。

  • 内分泌系の効率的な機能を調和させる
    • ジャランダラバンダは下垂体、松果体、甲状腺、副甲状腺、胸腺に直接影響を及ぼす
    • ウディヤナバンダは、副腎と膵臓に直接影響を及ぼす
    • ムーラバンダは、性腺と会陰部/子宮頸部(痕跡内分泌腺と言われている)に直接影響を与える。
  • すべてのバンダは、下垂体、松果体、脳に間接的な影響を及ぼす。バンダが内分泌腺に直接影響を与える結果、体内の特定のバイオリズムも調節される。たとえば、ムーラバンダとウディヤナバンダはどちらも月経を安定させるのに非常に役立つ。
  • すべてのバンダは、正しく実行されると、呼吸が低下し、落ち着きとリラックスをもたらす
  • 血圧が下がる
  • 心拍数が低下する
  • 深いリラクゼーションの兆候であるアルファ脳波の生成が増加し、神経活動が遅くなっていることを示している。体内の交感神経活動が低下し、リラクゼーションのさらなる兆候が現れる
  • 脳内の混乱した神経回路や交差した神経回路が並べ替えられ、事実上「脳をリストア」する
  • 消化器系は、内臓への圧力によって調子を整え、マッサージし、活性化する
  • 泌尿生殖器系の活動の調和は、神経系を介した反射作用の結果として発生する

バンダのプラーナ的効果

各バンダは、プラーナ(生命エネルギー体)の特定の焦点の刺激に関連付けられています。バンダは、脊椎の特定の神経叢、内分泌腺、およびチャクラとして知られるプラーナのエネルギーセンターに相互に関連していると言われています。身体的レベルの各神経叢と内分泌腺には、次のようにプラーナレベルの対応するチャクラが存在します。

  1. ムーラダーラ・・・仙骨/尾骨神経叢
  2. スワディシュターナ・・・前立腺神経叢
  3. マニプーラ・・・みぞおち
  4. アナーハタ・・・心臓神経叢
  5. ヴィシュッダ・・・咽頭/喉頭神経叢
  6. アジューニャーと(7) サハスラーラ・・・ 松果体 / 下垂体 / 視床下部の複合体

背骨にある六つのチャクラのうちの三つ、ムーラバンダ(ムーラダーラチャクラ)、ウディヤナバンダ(マニプーラチャクラ)、ジャーランダラバンダ(ヴィシュッダチャクラ)は、バンダが直接活発な刺激をもって関連しています。

これらの刺激は、脳と心のこれまで休眠していた潜在的な能力を活性化し、目覚めさせます。従って、バンダの習得は私たちの可能性を最大限に実現することにつながるのです。

多くの難解な哲学によれば、プラーナ(アパナ)の下向きの流れは、人間の意識をより低く導くとしています。(本能的な欲求への執着、過度の甘やかし、無気力、無力、怠惰など)

これらの哲学によれば、人間の本質は元来神のようなものであり、「第一原因(アリストテレスの唱えた万物の運動の根本原因)」を再生または実現するためには、意識を向け直さなければならないと考えられています。ここでのバンダ、特にムーラバンダの役割は、下降運動の意識をブロックし、それを上方に向け直すこと、と説明されています。

バンダをさらに理解するには、バンダを単に「ロック」としてだけでなく、身体的および精神的な「不純物」の除去剤として見るように視野を拡張する必要があります。経典によれば、ムーラダーラ、アナハタ、アジュナのチャクラには、「グランティ(精神的な結び目)」があるとされています。「グランティ」というのは、人間の意識の中にある「障害」、つまりものごとの根本的な性質、本質を覆い隠してしまう、個々の思い込みや思考の癖などのことです。

伝統的に、バンダはこれらのグランティを解く最も効果的な手段の1つとして規定されており、緊張、不安、抑圧、未解決の対立として存在し、それによって私たちの本質を再発見することができるとされています。

このバンダの実行によって、骨盤底のムーラダーラチャクラから頭頂のサハスラーラチャクラに向かって、グランティという「詰まり」や「障害」を排除していきながらチャクラを開いていき、最終的に頭頂部のサハスラーラチャクラに到達する時、サマーディの状態を体験することになります。

Moola bandha the master key

まとめ

さて、私たちアシュタンギは日々、ヤマ(禁戒)、ニヤマ(勧戒)、アーサナ(坐法)の実践を繰り返し行いながら、少しずつ変化していきます。全く何もできない状態から、呼吸を覚え、アーサナをおぼえ、ヴィンヤサを通して動きと呼吸の連動を覚え、心と身体を強くしなやかにします。さらに、それを深め熟達していくと体内に自らエネルギーを生成し、保持することができるようになってきます。

それはつまり、バンダの実行ができるようになってきた証拠です。そしてそれを自覚し、自在にコントロールできるようになって初めて上級者レベルの学びに手をつけられるものと考えて良いと思います。

その時には然るべき指導者から直接指導を受けながら学ばなければいけません。たとえ本場インドであっても、海外からの渡航者を騙すサギ団体や指導者も多いと聞きます。指導者を探す際にはどうか慎重に。自分が長年指導を受け信頼関係もすでに築けている師匠が、プラーナヤーマ以降を指導できる資格のある方であれば、最高ですね。

今回の記事は、上記の「Moola Bandha: The Master Key」を参考にしています。全編英語ですが、気になる方は是非読んでみてくださいね。

ウディヤナバンダとムーラバンダ

みなさん、こんにちは!
今回は、「ウディヤナバンダ」と「ムーラバンダ」についてのお話です。
聞いたことがない方のために、以下に書いておきますね。


バンダ」・・・締め付ける、引き上げる、引き込む etc
ウディヤナバンダ」・・・下腹部(みぞおち〜ヘソ下、丹田)を背骨の方に引き込む、または引き上げる
ムーラバンダ」・・・骨盤底(会陰部と肛門の間の括約筋)を引き締める、収縮させる


アシュタンガヨガでは、アーサナ中にこれらのバンダと呼ばれるテクニックと、独自の力強い呼吸法を合わせて使うことにより、より大きなエネルギーを作り出しそれをキープし続けることで、浄化の効果を高めることができます。
ただの運動なら、やればやるほど疲れていきますが、このテクニックを使うアシュタンガヨガは、エネルギーが保持できるので最後まで疲れずに続けられるのです。
ただし、このテクニック、ある程度アーサナが進んだ方でないとうまく使えないかもしれません。
事実、私も「バンダ」を意識し始めたのは、練習を始めてしばらく経ってからです。
ですので、アシュタンガヨガを始めたばかりの方にとっては、まだそれどころではないかもしれませんが、頭に入れておくといつか役に立つと思います。


バンダをうまく使えていると、身体が軽く持ち上がるし、疲れにくい!

 

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↑ バンダを使っていなければできない動き
不思議ですよね。
ところが、このバンダを使うにはかなり集中力がいるし、呼吸が整っていなければいけません。
ドラゴンボールの悟空たちが、技を繰り出す前に気(エネルギー)を溜めますよね。その時とっても集中しています。呼吸も乱れていません。
鬼滅の刃でも竃門炭治郎が、全集中の呼吸で強い力を作り出して鬼と戦いますよね。
バンダも同じです。

ジャンプバックする時、その前のアーサナの5呼吸でエネルギーを溜めます。
そして次の呼吸に合わせ、エネルギーを保持しながらジャンプバック&ジャンプスルーするのです。うまくいった時は、身体が軽くなってフワッとゆっくり動くことができます。

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でもプラクティス中、これをずっと維持できる人はかなりの上級者です。
ほとんどの人が一回の練習で、やっと数回うまくいくかなぁ・・という程度。


うまくいかない時の原因
・呼吸が乱れていて動きを合わせるタイミングがずれる
・呼吸が乱れていて、エネルギーが作られていない
・ウディヤナバンダが緩みエネルギーが作られていない
・ムーラバンダが緩んでエネルギーが漏れている


ウディヤナバンダとムーラバンダを使うときは、風船を膨らませるイメージ
風船を膨らませる時、最初は思いっきり強く息を吹き込みますが、一度膨らみ始めたら、続けて一定の強さで息を吹き込めば、効率よくスムーズに膨らんでいきますね。
次に、一度入れた空気が漏れないように、風船の吹き込み口を指で塞ぎます。
当然ですが、指が緩めば空気が漏れます。
膨らんだ風船は、軽くなってフワフワ浮きます。

バンダと呼吸をうまく使えた時の身体もこれに似ています。
ウジャーイ呼吸は、一定の長さ、強さ、を意識しながら行えば、身体の動きが安定しますし、風船の吹き込み口を、ウディヤナ(下腹部)とムーラ(骨盤底)、吹き込まれた空気をエネルギーに置き換えるとなんとなくそのイメージが掴めると思います。


一定の呼吸で効率よく体内に作られたエネルギーを、バンダを使って逃げないようにする。
これが、呼吸とバンダのテクニックです。
何度も言いますが、これを実践するには、呼吸の安定高い集中力が必要です。
ですが、練習を繰り返し継続することによってのみ、鍛えることができます。鍛えようと思わなくても自然と鍛えられるものです。
とても時間がかかるものなので、根気が必要ですが、今ある自分の課題に楽しく取り組みながら、少しずつ進化していきましょう!