YOGA LIFE sumsuun

アシュタンガヨガで明日を生きやすくする

片鼻交互呼吸のやり方〜自律神経を整えたいなら鼻の穴を制御せよ!

約7分

突然ですが、みなさんは鼻の穴について考えたことがありますか?

顔のパーツの中でも目や口や耳に比べると、「鼻の穴?マイナーだな」とちょっと見下して(笑)いるのではないでしょうか?
だけど実は、この鼻の穴、人生を操っていると言っても過言ではないほど重要な役割を担っていたのです。

今回は、その役割について、そして、それを片鼻交互呼吸によってコントロールする術をお伝えします。

病人の増加はアンバランスさが原因

ストレスの多い現代社会で、私たち現代人のほとんどは、幼少期の頃から常に活動することを強いられ、休息をとる時間も多くはありません。

心身の病を抱える人が増大しているのは、その忙しさの中で個人の心身や環境がアンバランスな状態になっていることが原因だろうと強く感じています。

何がアンバランスなのか、具体的な例をあげながら細かく説明していきたいと思います。

「二極」のバランス

私たちは、自然界、私たち自身、心の中、あらゆる場所に2つの相反する性質(二極性、二元性)を見ることができます。

例えば、陽と陰、ポジティブ思考とネガティブ思考、男と女、左脳と右脳、交感神経と副交感神経、肉体と精神、意識と無意識、生と死、、、など、色々ありますね。

ヨギーにとって身近な「ハタヨガ」 という言葉も、サンスクリット語で「ha」は太陽、「ta」は月、という意味で、この二元性を表しています。

このようなものの二極間のバランスが悪い、つまりどちらかに極端に偏りすぎていると、調子が悪くなったり、心身における様々な病気を引き起こすのです。

もっとヨガ的な話をしますが、人間の身体にはピンガラーイダーと呼ばれる二つのエネルギーの流れがあります。

ピンガラー
動的、活動的、男性的、ポジティブ、陽のエネルギー、光、熱、太陽、蓄積、創造的、組織化、求心性、理性、識別的、論理的
イダー
受動的、女性的、ネガティブ、陰のエネルギー、暗い、冷たい、月、散乱、バラバラ、遠心性、リラックス、無意識、直感的、感情的

このイダーとピンガラーのバランスは、大抵の場合、どちらかに偏っています。
しかし、ヨガのアーサナやプラーナヤーマ(調気法)など、様々な行法によって、そのバランスを取って調和させることができます。

nadi_chakra

そして最終的にその2つが一緒になって、内なる光、潜在能力、至福、真理を明かす、つまりヨガでいうとサマーディ(三昧)の状態を作り出すことができるのです。

ちょっとこれは上級者向けのマニアックな話なので、意味がわからなくても大丈夫です。

さて、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが悪いと、不眠になったり消化器官の働きが悪くなったり心身に不調が起こる、というのは聞いたことがあるかもしれません。

しかもそれらの神経と脳、内分泌腺など、肉体のあらゆるものは繋がっているので、右脳と左脳の性質のバランス、ホルモン分泌などにも当然影響を与えます。

右脳と左脳のバランス

【左脳(ピンガラーと繋がっている)】
分析、言語的、一時的、部分的、明示的、議論、知性、論理、思考、活動的、発言、ポジティブ、数学、理性、法、客観性、デジタル
【右脳(イダーと繋がっている)】
理解、空間的、「いたるところ」、全体的、暗示的、経験、直観、感情、感覚、受動的、沈黙、ネガティブ、詩、神秘主義、芸術、主観性、アナログ

例えば、活動的でポジティブな傾向が強いが、落ち着きがない人は、ヨガを続けるうちに冷静さや落ち着きが出てきますし、逆に怠そうでいつもネガティブ、、、という人は、活発さが出てポジティブな思考もできるようになる。

また、「私って感覚派だから論理的思考ができないのよね〜」という人も、それができるようになるし、逆に、論理的思考でしか言葉を発することができない人が、理屈ではなく直観的なことを理解できるようになったりする。

このようにしてヨガを習慣的に続けていけば、自然と様々なバランスが整えられていくわけです。
じゃあ具体的に何がどうなって整えられるのか。

さあ、ここでやっと登場するのが「鼻の穴」。
これが実はヨガを行う上でとても重要なポイントとなるのです。

イダーとピンガラー、もしくは副交感神経と交感神経の活動は、およそ90分ごとのサイクルで自動的に入れ替わっています。

ですが、不健康な生活をしていたり、日々のストレスなどで、そのサイクルは不定期となり機能が低下し、病気を引き起こす原因となるのです。

“ルーマニアのブカレストの鼻咽喉の専門家であるI.N. ライゲ博士は、鼻中隔の歪みや偏向によって、片鼻のみに障害のある、ほとんど400人近い患者らを調査した。博士は89パーセントの患者らが左の鼻の孔を通じてのみ呼吸をし、慢性副鼻腔炎、中、内耳の感染症、嗅覚、聴覚、味覚の部分的、あるいは完全な損失、再発性の咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎、慢性気管支炎といった特定の種類の呼吸の病の傾向があるのを見つけた。
また、左の鼻の孔(イダー)でばかり呼吸をする患者は、記憶喪失症、知的衰弱、頭痛、甲状腺機能亢進症、心不全、肝臓の機能の低下、胃炎、大腸炎、消化性潰瘍、便秘、またリビドー減退や卵巣の不規則などの性機能の諸問題といった、鼻からより遠い場所にある場所の幅広い不調和に罹る事が多く、逆に右の鼻の孔(ピンガラー)でばかり呼吸をしている患者らは、高血圧症に罹りやすいという。”

この研究結果からも明らかなように、実は左右のどちらで、そしてどんなバランスで呼吸をするのか、によって、心身の健康状態や思考が変わるというわけです。

いやぁ、ビックリですよね!

だから、ヨガは呼吸が一番大事、とか時間がなければ座って呼吸を整えるだけでもいいよ、とか言われるのですね。
さまざまな呼吸法がありますが、とりあえず私たちが行うのに最適な呼吸法は、片鼻交互呼吸(ナディショーダナーもしくはアヌローマヴィローマ)です。

片鼻交互呼吸のやり方

やり方を載せておきますので、是非やってみてくださいね!
ナディショーダナ

<初心者向けの片鼻交互呼吸(ナディショーダナー)>

軽くあぐらを組んで座り(安樂座)、背筋をまっすぐにする。

右手の親指で右の鼻の孔(ピンガラー)を押さえて、息を左の鼻の孔(イダー)を通じて吸う。

吸い切ったらそのまま可能な限り長く息を保ち、その後ゆっくりと力づくにはせずに(親指を離して)右の鼻の孔から息を吐きだす。

今度は〈薬指と小指で左の鼻の孔を押さえて〉右の鼻の孔から息を吸って、自らの力が許す限り息を止めてから、左の鼻より息を吐きだす。力づくではなく、ゆっくりと優しく行う。

この往復を1セットとし、最初は数回から始め、最終的に12回行う。

できれば、早朝の夜明け、昼、日の入りの時、そして夜中、など、1日に4回行う。

(シヴァ・サンヒターより)

vishunu_mudora

<上級者向けの片鼻交互呼吸(アヌローマヴィローマ)>

上記を、手を使わずに意識だけで行う。

意識的に左の鼻の孔から吸って、右の鼻から息を出す。

右の鼻の孔から吸って、左の鼻から吐く。

これを1回として、4回行ったら、5回目では両方の鼻の孔で同時に息を出し入れし、息の通路が逆Vの字を形成すると想像する。

そして回数を100から0に向けて数える。

(100――左の鼻の孔から入息し、右の鼻の孔から出息する。右の鼻の孔から入息し、左の鼻の孔から出息する。 99――繰り返す。 98――繰り返す。 97――繰り返す。 96――両方の鼻の孔から同時に入息し、同時に出息する。という風に続けていく。)

※正確に数えるのは絶対的に必要であり、間違いが起きたら、100からまた実践をやり直さねばならない。
呼吸を数えるのを維持するのは非常に重要であり、それ無しにはアヌローマヴィローマは多くの初心者には強力すぎる行法であり、彼らの意識を無意識へと引きずり込む。
この行法の目的はアージュニャー チャクラを無意識、サイキックのレベルで刺激する事にあり、そのため意識の気づきは保持される必要がある。
(クンダリニー・タントラより引用)

この記事を書いた人

YOGA LIFE sumsuun代表 アシュタンガヨガ指導者Mariko
アシュタンガヨガ正式指導者(SYC Authorized_Lv.2)2012年指導者としての活動を開始。出産・育児による活動休止を経て、2020年より南インドマイソール総本山 Sharath Jois師の下で修行。現在も指導者、実践者として学びを深める。 詳細プロフィール→
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