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アシュタンガヨガで明日を生きやすくする

環境ホルモンって知ってますか?

約7分

環境ホルモンとは「内分泌撹乱物質」「ホルモン作用撹乱物質」といって、私たちの身近な環境に蔓延する有害な化学物質のことですが、これがホルモンに似た作用をもたらすので略して「環境ホルモン」と呼ばれています。

天然ホルモンの種類

そもそもホルモンって何でしょうか?
焼肉に出てくるアレじゃないですよ!

ここで言う「ホルモン」は、生物の生命そのものや活動性の維持、成長と成熟および生殖機能を担う「情報伝達物質」です。
例えば、

成長ホルモン(成長促進など)
副腎皮質ホルモン(糖・脂質・蛋白代謝、抗炎症・抗アレルギー作用)
エストロゲン(女性ホルモン / 月経発来、動脈硬化抑制、骨吸収抑制、女性的性格形成)
テストステロン(男性ホルモン /生殖器官の成長、男性化、男性的性格形成)
甲状腺ホルモン(全身の細胞に働いてエネルギー代謝や成長発育を促進)
アドレナリン、ノルアドレナリン(血圧上昇作用、心臓賦活作用、糖・脂質代謝)

などがあります。

これらのホルモンが正常に作用しなければ、成長や生殖機能や生命の維持さえままならなくなります。
ホルモンは生き物にとって非常に重要な役割を担っているのです。

特に子宮内にいる胎児は、これらのホルモンから通常の何十倍もの影響を受けるといいます。
胎児が子宮内で育ち5体満足で体外へ出るまでおよそ十月十日。
それに間に合うように凄まじいスピードで成長していくのは、そのホルモンのおかげなのです。

さらに、人の赤ちゃんは、妊娠7ヶ月ごろにやっと性別が決まりますが、それは女性ホルモンと男性ホルモンの分泌が始まり、それぞれの分泌量によって、それに見合う生殖器が形成され性別が決まります。

ホルモン作用撹乱物質(環境ホルモン)とは

さて、ホルモンの作用を撹乱する物質ということですが、一体どういうことなのでしょうか?

実は、「ホルモン様(擬似)物質」ともいって、生殖のための性ホルモンや代謝をコントロールしている甲状腺ホルモンなどの受容体が、本来合体すべきホルモンと似たこの擬似物質と結びつき、その量を異常に増やしたり減らしたりして正常な働きを阻害してしまうという、何とも厄介なやつなのです・・・

このような危険な環境ホルモンとして認定されている化学物質には以下のようなものがあります。

・PCB(ポリ塩化ビフェニール)・・・主に可塑剤、塗料、溶剤などに含まれる物質の一つで、現在は製造・輸入ともに禁止されていますが、禁止前に作られた産業廃棄物などの問題は未だ残っています。(※1)

禁止となる大きなきっかけとなったのは、社会の教科書にも載っている昭和43年に起こったカネミ油症事件ですが、このときは食用油の製造過程でポリ塩化ビフェニールなどが混入し、その食用油を摂取した人やその胎児に障害などが西日本一帯で発生しました。
その中でも衝撃的なのが、妊婦から真っ黒な胎児が生まれ、2週間後に死亡したという被害もあったそうです。

・殺虫剤DDT・・・これは戦後に農薬での使用が一気に増加した化学物質で、野生生物の大量死などが問題となり、世界各国で全面的に使用が禁止となりました。(※2)

・アルドリン、ディルドリン・・・有機塩素系の殺虫剤。POPs条約により製造、使用は原則禁止(※3)

・ダイオキシン・・・ゴミ処理場、廃棄物等から複数の化学物質が合わさって発生します。煙となって大気中を漂い遠くまで広がります。遠洋・輸入のマグロなどから相当濃度のダイオキシン類が検出。(※4)

・ビスフェノールA・・・缶詰やプラスチック容器などに使用され、食品に溶け出して体内に取り込まれる。(※5)

・揮発性有機化合物・・・常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称(トルエンベンゼンフロン類ジクロロメタンなど)溶剤、燃料に使われる。

その他

※上記は製造中止・使用禁止となっているものが含まれていますが、この環境ホルモンは長期にわたって影響を受ける可能性があるため、参考までに挙げています。

そして、これらの環境ホルモンに暴露する(晒される)と、以下のようなことを引き起こす可能性が高くなるといわれています。

不妊症、生殖器異常、乳がん、前立腺癌、多動症、注意散漫といった子どもに見られる神経障害、野生生物の発達および生殖異常、生殖機能の低下、卵巣や精巣の萎縮、精子数の減少、免疫系や発育の抑制、子宮や輸卵管の奇形

特に、胎内で、あるいは母乳を介して母親から子供へ譲渡される有害物質はほんのわずかな量でもかなりの悪影響(具体的には、性発達障害、行動および生殖異常)をきたすという研究結果が出ています。
子宮内でのどの成長のタイミングで、どんな環境ホルモンに暴露したかで、結果は変わりますが、例えば、神経器官が作られるタイミングであれば、発達障害の可能性、生殖器形成のタイミングであれば、性同一性障害や不妊症、がん等の可能性が出てくるというわけです。

環境ホルモンへの対処法

環境ホルモンは、主に口・皮膚・呼吸などによって体内に取り込まれ、脂肪細胞に残留します。
それを踏まえて、日常生活を送る中で気をつけたいことを以下に挙げたいと思います。

春の山菜
春の山菜で化学物質をデトックス
・食品添加物を避ける
・無農薬野菜を選ぶ(またはよく洗い流して食べる)
・プラスチック製の食器やラップはなるべく避ける(使用するときは加熱しない)
・加工食品を避け、新鮮な食材を調理して食べる
・肉は脂肪(化学物質残留)部分を取り除く
・輸入缶詰やペットボトル飲料は避ける(内側に防腐剤などのコーティングがされている)
・妊娠中の女性や子どもは特にマグロやメカジキなど大きな魚を食べない(汚染された環境における食物連鎖では、大きい生物ほど毒性が濃縮されて危険)
・「パラベン」「オキシベンゾン」「トリクロサン」「香料」を含む化粧品や洗剤、柔軟剤、シャンプー、入浴剤、石鹸等、芳香剤、消臭剤、制汗剤の使用を避ける
・妊産婦や子どもの近くでの、ガーデニング農薬や殺虫剤、ペット用殺虫剤の使用を避ける
・新築・改築の家、新しい家具、カーペット、塗料などからの臭気を避ける
・「抗菌」製品、「ポリ塩化ビニール」製品、「防水スプレー」などは使わない

厳密に言えば、もっと気をつけなければいけないことはあるのでしょうが、とりあえずこれだけでも環境ホルモンからの影響を減らすことは十分できるはずです。

今や、この地球上に存在するかぎり、環境ホルモンに全く影響を受けない生物などいないといわれています。

それでもなお、子供達の未来に、ガスマスク着用が義務付けられるようなことは絶対に避けなければなりません。
たんぽぽ

この危機的状況を回避する方法

・自分はもちろん、子供達もが晒されている化学物質の正体を知ること
・そうした有害物質に現代科学はどう取り組んでいるのか?を知ること
ホルモン撹乱物質を作らないこと
すでに蔓延しているホルモン様汚染物質にできるだけ暴露しない様にすること

そのために不可欠なこと

1. 科学的研究

2. 企業による化学物質、製造過程、製品の見直しと政府による新たな環境政策

3. 各個人による家族ぐるみの自衛策

特に成長過程にある子供や妊婦をできるだけ化学物質にさらさない様に強く意識すべきだと思います。

というわけで、今回は、環境ホルモンについて、私が今学んでいることをシェアしました。

参考にした本は以下の通りです。興味のある方は是非是非、一緒に学んでいきましょう!

注釈
※1 環境省公式「PCBとは?なぜ処分が必要か?」http://pcb-soukishori.env.go.jp/about/pcb.html
※2 第二次世界大戦時、死体に集まるハエの駆除として使われたのが最初、戦後のシラミ対策にも使用。発展途上国ではマラリア対策で使用。
※3 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000578448.pdf
※4 廃棄物の焼却処理過程においての発生が一番多く、その他、金属精錬施設、自動車排ガス、たばこの煙などから発生するほか、山火事や火山活動などの自然現象などによっても発生する
※5 厚生労働省 ビスフェノールAについてのQ&A
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html

この記事を書いた人

YOGA LIFE sumsuun代表 アシュタンガヨガ指導者Mariko
アシュタンガヨガ正式指導者(SYC Authorized_Lv.2)2012年指導者としての活動を開始。出産・育児による活動休止を経て、2020年より南インドマイソール総本山 Sharath Jois師の下で修行。現在も指導者、実践者として学びを深める。 詳細プロフィール→
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