YOGA LIFE sumsuun

アシュタンガヨガで明日を生きやすくする

daily practice 「なぜ毎日練習」しなければいけないのか

約5分

アシュタンガヨガを始めると、そのうち「daily practice」という言葉を耳にするようになります。今回は、そのことについてお話ししたいと思います。

daily practice(毎日練習)とは何か

そのまんまですが、毎日アーサナの実践を行うことです。最初のうちは、毎日フルプラクティス(先生からここまでと指示されたアーサナまでを行う練習)とはいかないまでも、太陽礼拝だけとかスタンディングまでとか、マットの上に座って呼吸だけ行うというのでもいいのです。そこから少しずつ進展して、しっかりと効果を得られる練習が徐々にできるようになっていきます。

そもそもヨガの目的ってなに?

馬の軛(くびき)を操るように、ヨガの実践を通して自分の心と体を自由にコントロールできるようになることですよね。

ウップルティヒ
秤のポーズ utplutihi ウップルティヒ
感情に振り回されず、起きる出来事に客観的冷静に判断・行動できれば、様々なトラブルを避けられ、心も体も安定して落ち着いていられます。
では、「起きる出来事に客観的冷静に判断」というのは、どうやってするのでしょうか?

例えば、何か自分が嫌だな〜、と感じるような出来事が起きた時に、「怒っちゃダメダメ!我慢我慢!」と怒りを抑える・・・のではありません。
考え方としては、「この出来事も感情も、いずれは通り過ぎていくもの」という風に捉えて、そこにいつまでも執着しない、という感じです。
そうすれば、その怒りに任せてその対象を攻撃することもありません。(これを「良いパターン」と名付けます。)
逆に、攻撃すれば、その時はスッキリしたような気がしますが、心は決して晴れません。それどころか、何度も繰り返し思い出して、怒りの煩悩を積み重ね続けることになります。(これは「悪いパターン」
「良いパターン」を何度も繰り返すことで、自分が「怒り」を発生させる原因に対する反応もどんどん小さくなっていき、いずれ、「怒り」自体発生しなくなるというのです。
でも、これを実際にやろうとしても、そんなに簡単なことではありません。

頭で考えるのではなく、身体を使って練習する

ヨガの実践の内容として、日常生活を整えるための「ヤマ(禁戒)」「二ヤマ(勧戒)」の遵守や、アーサナ(ポーズ)の実践があります。(呼吸法や瞑想などはアーサナの実践で心身が強く安定した者のみが行える)
ヨガ初級者はまずこの最初の3つの実践を行なうことになっています。

特にアーサナの実践はとても大切で、自分の心身を使って、自分のことを観察し、知り、気づき、変化する、というのを繰り返し行います。
体はどんどん健康になり、強くて安定したものになり、心も変化していきます。そのスピードは人によって違いますが、実戦を続けている人なら必ず、誰でも、変化します。
ただし、たまにしかやらないと、すぐに体は元に戻ってしまいます。せっかく変化や効果があっても、戻ってしまうなんて勿体無いですよね?

それに、毎日練習をしていると、「今日は調子が良かった」とか「できないことができた」というような嬉しいこともあれば、「昨日できたのに今日はできなかった」「きつくて体が動かなかった」と、モヤモヤする・・といった変化がとてもわかりやすいですが、時々しかやっていないと、些細な変化には気づきにくいです。
気づきや変化があると、やる気も出てさらに練習しようという気にもなりますよね。
石仏

「観察・気づき・変化」のループが日常生活に影響する

これを繰り返し続けていると、日常生活にもとてもいい影響があります。
「臨時収入が入った!!と、浮かれて、大きな買い物をしてしまい、給料日までギリギリ生活・・・」「嫌なことがあって、自棄食い、自棄飲みして、悲惨なことに・・・」といった一時の感情に振り回されて、自制心を失い、後悔するような行動を取ることはありませんか。
アーサナの実践中に、自分にとって壁だった難しいアーサナができるようになった!嬉しい!と浮かれて、自慢げな心が膨らむ。
そして自分が周囲にどう思われているか気になって気になって仕方がなくなる。練習に集中できない。そこになんだか嫌な自分を発見する。
客観的に観察してみると、その自慢げな感情も鎮静して萎む。ということを繰り返していると、日常生活においても、自然と客観的に判断する良い癖がつくので、浮かれたり、怒ったりして失敗する、というようなことがなくなります。
ちなみに、このような理屈を知ると「真理」を理解したような気になりますが、実際に心と体を使って練習をし、自ら体験しなければ、本当に理解していることにはならないし、良い癖として身に付かないんですよね。
逆にその真理を理解していなかったとしても、練習を毎日繰り返すことは、心と体をコントロールするトレーニングをしているのであって、自分の生活に実際に役立てることはできるんです。

意識できるようになるまで時間がかかるもの

さて、みなさんは毎日ヨガの本来の目的「自分の心と体を自由にコントロールできるようになること」を意識しながら、練習をしているでしょうか?
初級者から中級者の場合、それを意識しながら練習をしている人は、ほとんどいないと思います。
初級者から中級者は、「もっとできるようになりたい」「体を強くしたい」「気持ちがいい」という、単純な欲求が原動力となっていて、それが強ければ強いほど、毎日のように練習をします。
そして上級者になれば、今度は、その欲求(エゴ)を手放し、さらに内観を重視する練習を自然とするようになります。
長い長い道のりです。
でもそういうものだと思ってください。早ければいいというものではありません。むしろたっぷりと時間をかけて、自分の心身を、絶対に揺るがない強固なものに鍛えていきましょう。

この記事を書いた人

YOGA LIFE sumsuun代表 アシュタンガヨガ指導者Mariko
アシュタンガヨガ正式指導者(SYC Authorized_Lv.2)2012年指導者としての活動を開始。出産・育児による活動休止を経て、2020年より南インドマイソール総本山 Sharath Jois師の下で修行。現在も指導者、実践者として学びを深める。 詳細プロフィール→
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